“コミュニケーション力”で健康に「生きる」社会の実現!ヘルスプロモーション

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代表メッセージ

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PLUS LIFE PROGRAM 代表 沼尾ひろ子

わたしは42歳の時脳梗塞を発症し、後遺症で失語症になりました。失語症はコミュニケーション断絶の病です。伝えたいことが伝えられない。まわりの声が音としての認識しかなく意味をなさない。それはどういうことを意味するのでしょうか、存在こそしていますが世界中でひとりぼっちなのです。コミュニケーションがとれないあの時の絶望は「生きる」という意味そのものを覆すものでした。入院中は病院内がわたしをとりまく世界です。そこで患者として体験した心がズタズタになる言葉や、がんばってみようかなと勇気づけられた言葉、言葉というものがこんなにも人を幸せにも不幸にもするものなのかと身をもって経験しました。医療の現場というのは、最もコミュニケーションの遅れた場といっても過言ではありません。

「医療者として誇りと自信を持ってのぞんでいる。しかし、患者との接し方、コミュニケーションの取り方には正直言って自信がない」「時間に追われて、外来患者としっかり向き合えない」「真面目に対応しているつもりなのに、家族から詰問されてしまう」「自分より目上の患者さんにどんな話し方をしたらいいのかわからない」「言うことを聞いてくれない患者さんにどう言えばいいのだろう」「インフォムームドコンセントに自信がない」「告知する場面で悩む。医療者としてなのか、人間としてなのか。感情はあっていいのか、悪いのか」「看護師とうまく連携がとれない」「職場での医療者間同士のコミュニケーションがうまくとれない」「そんなつもりはないのに」。真面目な医療者はこう言います。問題はそこにあります。医療者が善意で言った言葉や気持ちが患者にまったく伝わっていない。伝わらないどころか悪感情を抱かせてしまう。そのことが引き金で、訴訟問題に発展することもあります。コミュニケーション不在です。わたしは「言葉」で「伝える」ことを生業にしている人間だからこそ、コミュニケーションの重要性を訴えたいのです。

医療がコミュニケーションの時代に突入したと言われて久しい。医学生達は、医学を勉強してきても肝心な患者との心の通わせ方、信頼の築き方については学習する機会がありません。そんなことは現場で培っていくものだと思われてきた現状、そこにこそ、問題の根源があります。医療の場が一般社会と全くかけ離れた特殊な場であること、医師・患者間のパワーポジション問題です。そのような場で真のコミュニケーションを学ぶことは難しいことでしょう。医療の現場に求められているものが、今、大きく変わろうとしています。ヘルスコミュニケーション。向き合い方、話し方、言葉の用い方ひとつで医療者患者間の信頼の置けるパートナーシップを築くことができ、よりよい医療現場を実現できます。

人間の生き方にもっとも密接に関わる医療の場をコミュニケーション力で最良のものにしていきましょう。